民間戦争被害者を放置してよいか
     (われわれ国民は、基本的人権を衛り、
         侵害を防がなければなりません)

 
前大戦による空襲都市の被害者は、国によって為された戦争の被害であるにも かかわらず、今もなお何の補償も援護もありません。
 いま戦後70年、 直接の空襲等による死者の他に、その遺族と被災者の多くは亡くなり、残る一 親等の遺族と被災者は70歳以上になっています。  親を失くし孤児になり、その上に酷い障害を負っている方々、中には今も治療中の方々。このように戦争によって狂わされた苦難の人生を送っている人たちが、私たちの身近におります。
 過去、国会で何度も救済立法案が出されながら廃案になったり、補償を求める訴訟が敗訴したりしています。

 被害者を除いて一般の市民の人は、どう考えているのでしょうか。
   「難しい問題」
   「何で今更、時効じゃないの」
   「補償が欲しいのか」
   「そんなことに税金を使ってもらいたくない。」

 このような感覚で、私たちは民間戦争被害者を放置していいのか。日本国憲法のいくつかの条文に照らして考えてみれば、われわれは民間戦争被害者放置することはできないのです。


 日本国憲法によって、すべての国民は基本的人権を保障され、国民は不断の 努力によって、人権侵害から護らなければなりません(11・12条)。
 同じ国民である戦争被害者も、生命、自由及び幸福を追求する権利は、公共の福祉の向上のために、国政による調査、立法による援護が必要です(13条)。
 戦争被害者の救済・援護する一意的法文がなければ、法律、命令又は規則の制定について請願する権利があります(16条)。
 戦争被害者も、法の下に平等であって、政治的、経済的又は社会的関係において、軍・民等による差別されません(14条)。
 国の戦争に因る被害者は、政府や国会が何もせず放置してきた不法行為(行政不作為、立法不作為)によって、損害を受けていることは、国家賠償法により、国に賠償を求めることがでます(17条)。
 裁判官は、良心に従い独立してその職権を行い、憲法及び法律にのみ拘束される(76条)。
 最高裁判所は、訴訟事案が憲法に適合するかしないかを決定する
権限をもつ終審裁判所なのです(81条)。

憲 法
第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。・・・
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、不断の努力に
    よって、これを保持しなければならない。・・・
第13条 すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸
    福追求 に対する国民の権利については、公共の福祉に反しな
    い限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第14条 全ての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、
    社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係に
    おいて、差別されない 。
第16条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の
    制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利
    を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受
    けない。
第17条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときには、法
    律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めるこ
    とができる。
第32条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
第76条 3項
     全ての裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、
    この憲法及び法律にのみ拘束される。
第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に
    適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
 
                                             
 われわれ国民の基本的人権は決して天から与えられている権利ではありません 。日本国憲法に書かれているが故に、政治でも司法でも有効な私たちの権利となるのであって、人道的あるいは道徳的にとどまるものではありません。
 人権は、欧米において、一般国民 が王権や貴族など階級的権力から長い間の闘争を経て勝ち取ってきたものです。決して侵害、蹂躙されることのないように務めなければなりません。


                             
東京空襲遺族会 西沢俊次